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以下、なかむら さんが、湿式多板クラッチについてまとめられ、掲示板にアップされたものです。
参考にしてみて下さい。

一連のクラッチの話題を読んでて、少し誤解をなされている方がいらっしゃるので少しばかり「クラッチとは何ぞや」という話をします。
少々長くなります、しばらくの間お付き合い願います。



クラッチはどんな構造であっても、エンジンの動力を切ったり繋いだりするものです。 湿式だから切れないとか乾式は切れるとか言うのは違います。


-オリルは引きずりの原因?
オイルの役目は潤滑です(DJEBEL-XCやDR-Rでは冷却も兼ねてますが)。 オイルがある事によって滑りやすくなってます。 オイルが無いと摩擦熱で一発で焼きつきます。 もう一つ、クラッチユニットはオイルに浸かっているのではなく、循環機能によってオイルを吹き付けられてます。 又、余分なオイルは遠心力によって飛ばされるので、引きずるほどの影響力はないです。


-なぜリアタイアが空転するのか?
これは、多板式によって引き起こされる現象です。新車の状態でクラッチレバーを握ると、クラッチ板を止めている板(挟んでいる板)が約2mm(スズキ:J425のエンジンに限って)引っ張られます。 するとクラッチ板7枚とフリクションプレート6枚、計13枚の板で2mmの隙間しかない事になります。 それぞれの板に約0.15mmの隙間しかないのです。離れているけど隙間が狭い事により擦れているわけです。 実際、クラッチを握ったままリアタイヤを上げると回転します。 しかし、停車状態では100kg+αの車体を動かす力は発生しません。 この、空転しているタイヤを止めようとするとかなりの力が必要ですが、それは慣性力の影響です。


-では、引きずりとは?
引きずっている状態というのは、半クラッチになっている状態です。 では、引きずってても大丈夫かどうかの見極めが必要になってきます。
簡単な点検方法は、
1.先ずエンジンをかけてしばらく暖機します。 この間にクラッチレバーをニギニギして十分にクラッチ板を慣らしておきます。
2.エンジンを止めてください。 必ず止める事。 (この事で怪我しても責任取れませんので)
3.ギアを一速に入れます。
4.クラッチレバーを握り、スタンドを懸けたまま車体を斜めにしてリアタイアを浮かします。
5.リアタイアが回ってない事を確認した上で(エンジンは止まってる筈)手でリアタイアを回転させて下さい。 予め、ビールケース等の上にバイクを置いてリアを浮かすか、誰か他の人に手伝って貰うと楽です。
6.少し固いけどリアタイアが回るなら安全圏。 回らないのなら完全に半クラ状態です。 バイク屋さんで見てもらいましょう。 (私のDRは回ります。引きずりも無いです。)


-引きずりの原因は?
クラッチレバーの遊びを一杯まで無くしても引きずるのはレバーやワイヤーの問題でなく、クラッチのユニット自体に遊びが出来てる可能性が大きいです。 例えば、レリーズラックとレリーズピニオンとのガタ(ギアの歯の摩滅)、レリーズピニオンとクラッチベアリングとのガタ、クラッチベアリング自体のガタ、クラッチフリクションプレート(ドリブンプレート)の歪み等です。 因みに、クラッチドリブンプレートの許容歪みは0.1mm以下です。それ以上歪むとクラッチの引きずりに直接影響します。

引きずるのが当たり前と言わずに、ちゃんと点検に出しましょう。 きちんと整備してくれないバイク屋は即刻替えるべきでしょう。





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