2008年6月14~15日


 6月14日、ついに2年越しの夢であった小金井沢温泉(金華湯)に行くことになった。

もちろん、単独行である。

悪路を想定し万一に備え、ジェベル250XCにテント・シュラフ・鋸・ナタ・剪定鋏等を積載。

自宅を7時30分に出発。途中、余市で給油、倶知安で食糧を補給。

小樽・余市は曇りで寒かったが、倶知安峠を越えると晴れていた。

しかし目名峠を越え、黒松内に入ると小雨に。ブナ林の銘水で喉を潤し、ペットボトルに給水。

月越峠はいつものように濃霧である。島牧到着は14時。宮内温泉経由で、舗装された林道を上がっていく。

だんだん小雨が本格的な雨に変わり、ずぶ濡れ状態に。例のゲートには14時30分に到着。

ゲート手前には車4台が置いてあり、先客がいるようであった。

ゲートをすり抜け、慎重にスタート。

8km地点で、休憩中のMTBの団体に遭遇。ゲートに置いてあった車の人達だった。

MTBで金花湯を往復したらしい。みな雨で濡れて、かなり消耗している様子。

ゲートまでの距離を訊かれ、まだ8kmある旨を伝えると、ガックリきているようだった。

その疲れ果てた様子を見て、こちらも緊張してきた。

彼らはスコップで掘ってきたので、金華湯には快適に入浴できる状態にあるとのことである。

MTBの一行に礼を述べて、出発した。

その後、すぐに道路崩落現場に。







荷物を下ろし、ジェベルを慎重に押して渡る。

しばらく行くと、落石と泥沼の箇所に。

昨年までの写真で確認していたよりはるかに落石が多く、ジェベルは石と泥沼に苦しみ、スタックの連続。

かろうじて越えたと思いきや、石にタイヤをとられ転倒。

荷物を下ろして、起こし、また荷物の積み直し。

さらに進むと、道がV字にえぐれているではないか。

ジェベルから降り、押して通過しようとするも、押し上げきれずに転倒。

再び荷物を下ろし、ジェベルを起こして、再挑戦。なんとかV字を脱出。

そして、今度はまた道の大崩落(大陥没)箇所が出現。





ここは草をむしり取り、残されている道幅を確認し、ジェベルを押しながらそろそろとなんとか無事に通過した。


しばらく行くとコイの口橋





そして、泊川大橋に。





すでに17時を回っていたが、橋の上にてしばし休憩。
雨のためと疲労と先の不安のため、景色を楽しむ余裕はなかった。
もちろん時間的余裕もなかったのだが。

その後、小金井沢橋を経て、有名な馬鹿殿岩(森の岩松)に到着。





岩の上の松は枯れているように見えた。

馬鹿殿岩の手前を左折。道は廃道状態、しかも雨で小川状態で削れて、走行は非常に不安定。

まだ登りだったので、転倒寸前でクリア。しかしその後に待っていたのは倒木の嵐・・・

MTBの一行は乗り越えたり持ち上げたりして通過した様子。ジェベルでは乗り越えられない倒木が4ケ所あった。





早速、用意した鋸とナタで処理。汗だくで、合計40分ほどかかって通過。

時計を見るとすでに18時、廃道はどんどん狭くなり、熊の排泄物も頻度と新鮮度が増していくようである。

しばらく行くと道路決壊場所に。テープも何も張っていなかったが、ここにジェベルを置いていくことに決定。

時刻は18時30分。キャンプ道具をかついで、徒歩で出発。10分ほどで小金井沢川に。





川の手前の斜面にカワサキのバイクが捨てられていた。以前どこかのBlogで見たバイクに似ている。

回復不能の故障により捨てて行かれたのだろうか?可哀想なKAWASAKI車・・・

川を渡ると、藪こぎ状態でほとんど匍匐状態で前進。

19時にやっと金花湯に到着。天気も悪く、暗くなっていたので、すぐにテントを設営。

荷物をとりにバイクまで戻り、再びテントに戻ったのは19時40分。

もちろん、熊よけにラジオと鈴を鳴らしながらの行程だった。

テントの中でずぶ濡れになったツナギと下着を脱いで着替えを済ませ、ガスランタンを灯そうとした。

新しいマントルを装着。しかし着火しない。ガスは新品。少し焦る。

もう15年近く使っているC******S***のガスランタン。遂に点火部分が壊れたようである。

仕方がないので同じC******S***のピクニックストーブに点火、少し明るい。

黒松内で汲んできた銘水を沸かし、カップラーメンを作り、おにぎり2個とで簡単な夕食。

疲れが蓄積していたので、食後はすぐに横になる。

ラジオを消して寝ようと思った。

しかし、今朝ほど宮城・岩手を襲った地震のことが気にかかる。20年前に訪れた栗駒山、素晴らしい景色だったことを記憶

している。

そのおりは時間が無くキャンプはできなかったが、いずれ再訪しキャンプしてみたいと思っていた場所であった。

もしも、この近くで同じような地震が起きれば、十中八九は生還できないだろうと思う。

現状でもひどい落石・路面崩落があるのに、さらに地震が襲ったら・・・・・

廃道は完全に崩壊し、徒歩でもゲートまでたどり着くのは困難であろう。

外は金花湯の下を流れる小金井沢の沢音がする。雨は止み風は無い。

妙な鳴き声が聞こえる。シカだろうか?いや違う。

動物の鳴き声ではないようだ・・・・奇妙な鳴き声・・・・

気になる・・・・

いずれ、静かになるだろう、と思い、目を閉じる。が、鳴き声は止まない。

間隔が微妙に変化するが、続いている。夕方到着した時には聞こえなかった。

寝よう・・・と思うが、鳴き声が気になり眠れない・・・・

そのまま時間が経過し、テントの外が少し明るくなりはじめ、鳴き声がやんだ。

代わりに鳥が鳴き始める。

「ホッ」 とした。時計をみると4時少し前。

あの声はなんだったのだろう・・・・・。亡者の泣き声だったのだろうか?

ラジオをつけ、テントの外に出た。


   (その2につづく)

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